一人暮らしの父への思い

地方で一人暮らしをしている高齢の父への思いとは

母との別れ

昭和59年には、妹が高校を卒業し就職して、4人の子供たちも全て職に就いて父と母も一安心であったろうと思うし、盆、暮れに我が家に帰省すると、子供たちの成長にほっとした様子が伺えた。

昭和59年からは、夫婦二人で農業をしながら生活をし、好きな旅行に定期的に出かけて人生を楽しんでいた様子であった。母は、家事仕事とやっぱり忙しい日々を暮らしていた。

そんな母が、今まで大きな病気をしていない健康な状態であったが、ふと健康について考えたのか、町主催の健康診断を受診した。その結果、肺がんの疑いありの診断結果が送付されてきてので、早速地元の病院で精密検査を受診した。

私たち子供らも”がんではない””間違いであって欲しい”と願っていたが、診断結果はステージ3の肺がんであった。その後肺がんの摘出手術後、自宅療養を行った。手術後は、父のあたたかい看病もあって順調に回復した。

しかし、手術後3年目に体調不良を訴え緊急入院し、精密検査を行うとがんの再発がわかった。父、私たち子供らまさかと思ったが、それが現実であった。

医師からは、完治は難しいと言われ目の前が真っ暗になった。その後入院を継続し看病することになった。父は、昼間は農業で働いて、夜は毎日病院に通い母の看病に努めた。

私たち子供たちも、休日ごとに病院に通い母の看病に努めた。入院して3ヶ月後、平成13年3月に母が息を引き取った。

父は、立派なお葬式をあげてやりたいと言い、家族みんなでそのように進めることにした。立派なお葬式と言っても、祭壇が上等であったり、生花が上等であったりと見た目で高級感がうかがえるお葬式であったように思う。

私たちの地域では、この頃までは葬祭場を利用した通夜・葬儀は行われておらず、もっぱら自宅で通夜・葬儀を執り行う風習であった。そのため家族が亡くなると家の片づけや祭壇の依頼などとやることが多く、故人とゆっくりお別れができる様な状況ではなかったように思う。

今のお葬式は、家族葬など家族や親戚だけのお葬式が増えているが、これはこれでいい方法だと思う。

母が亡くなり、父一人となり、今までやったことのない家事、特に炊事には苦労したとよく話してくれる。そんな一人暮らしも29年を迎えようとしている。父も永遠に生きることはなく、今後のことを日々考えるこの頃である。

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